特許翻訳の得意分野づくり①-中国、韓国から日本への特許出願人を通じて

好きなことを仕事にするか、それとも与えられた仕事を好きになるか、
あるいは、好きになるまでもなくこなすだけに留まるか
これは労働者の永遠の課題かもしれません。
化学反応に中間体が存在するように、これっと限定せずにいろんな状態を受け入れてもいいのではと思ったりします。

近い将来、まず日・中・韓の言語ペアでの特許翻訳者を目指すものとして、
いま、プロとして立ち上がるための得意分野を模索しています。
個人的に英語は、ブレッジ言語として訳語の確定に使用しているところです。
英語の巨大市場はとても魅力的ですが、まず日中韓に関する翻訳に集中します。

得意分野を探す時、現状、真新しい分野に飛び込んだため、正直何が好きかわかりません。
勉強する、本を読む、疑問に思うことを調べるくらいは性に合っていることだけは確信が持てますが。
化学の基礎勉強だけでは、技術発展の現在と未来を捉えるには足りないのです。トライアル挑戦する前段階に得意分野ですと書けるものない、 困ったものです。

そこで発想を変えて、いまどの分野で需要があるかでアプローチしてみることにしました。今もっとも気になることを順に並べると

  1. 日・中・韓各国特許庁の出願人情報から多く出願される分野は(現在のニーズ)?
  2. 各国の出願人がどの国・地域を重視しているか?
  3. 日・中・韓各国政府推進プロジェクトの分野は(潜在ニーズ)?
  4. 上記出願人(クライアント)の代理人である特許事務所の情報からみる業界動向は?

今回は、主に1.の中国、韓国から日本への出願状況について、出願人情報、出願技術の面から調べてみたいと思います。

そもそも外国で特許を取得する目的は、自社の製品市場を競合他社から守ることにあります。ゆえに、中国籍、韓国籍出願人によっては、日本市場より米国と欧州など市場を重視する可能性があります。
また、特許出願ルートの違いによって、直接英語から日本語へ翻訳されるケースが多くあります。
私個人の目指す言語ペアと直結しなくても全体を大きくみるためにもこうしたアプローチが必要不可欠だと思います。

いかは、2018年日本で発行の公開特許公報うち、特許事務所と出願人それぞれ上位500までまとめた資料(注1)を参考に、うち、中国と韓国の出願人に焦点を当てました。

中国籍出願人

上位500位のうち以下の出願人がありました。(数字は、公報件数によるランキング)
74.華為技術有限公司
218.ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド(注2)
315.アリババ・グループ・ホールディング・リミテッド

389.レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
429.小米科技有限責任公司

またランク外に
テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド(騰訊)
チンダオ ハイアール ジョイント ストック カンパニー リミテッド

韓国籍出願人

58.エルジー・ケム・リミテッド(LG化学)
179.三星電子株式会社
186.エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
250.エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
314.サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
316.サムソン エレクトローメカニックス カンパニーリミテッド.(サムスン電機)(注3)
354.ポスコ(鉄鋼)
393.三星ディスプレイ株式會社

ランク外に、
エルジー イノテック カンパニー リミテッド(素材部品)
エルジー フューエル セル システムズ インク(燃料電池)
エルジー・ハウシス・リミテッド(韓国最大手の建築装飾資材メーカー、自動車部品及び高機能素材メーカー)

名の知れた出願人以外は、括弧書きに業種を追記しました。

注1:知財ラボ発売の電子書籍『日本の特許1000 2018年版』(有料)
https://jp-ip.com/services/digital-book
有料版には、出願人と事務所との取引情報も載っていて、各事務所を利用するクライアント上位30位まで載っています。大変参考になりました。 もちろん特許事務所と出願人の上位100位までのランキング、出願人の出願技術上位10位までの情報は、知財ラボのHPでもご覧いただけます。
https://jp-ip.com/information/ranking

注2:「 ホアウェイ」とあるが、2005年設立の日本法人であるファーウェイ・ジャパンは「ファーウェイ」となっている。
https://www.huawei.com/jp/about-huawei

この時点で「ファーウェイ」が定訳と判断したくなるが、もう一度最新の特許出願情報を検索してみた。
J-Platpatで「 ホアウェイ 」で検索すると、ヒットした今月8日の「デジタル画像のブロックを処理するためのシステムおよび方法」の出願人は「 ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド 」であった。代理人は志賀国際特許事務所所属弁理士で、注1の資料の同事務所のリストには「 華為技術有限公司 」と記載されていた。日本を代表する特許事務所が間違えるはずがないのだが、どうして「 ホアウェイ 」なのか、まだ納得のいく答えが見つかったいない。出願人の名前の変更と削除に関する 特許法も当たってみる。

ちなみに、「ファーウェイ」で検索すると、3つの出願人がヒットした。最新公知日は2017年。
ファーウェイ インターナショナル プライベート リミテッド (シンガポール)
ファーウェイ テクノロジーズ カンパニー リミテッド (ベルギー)
ファーウェイ デバイス カンパニー リミテッド

注3:注2と同じくサムスン電機の日本語版HPには「サムスン」とあるうえ、サムスン電機に限らず、サムスン電子を含め、「サムスン」が定訳と考えたのだが、 J-Platpatで「サムソン 」で検索すると今月22日公知日の公開特許公報の出願人は「 サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド. 」ご注意いただきたいのは、最後に「.」もあること。注2と同様特許法の規定によって変更できない可能性が濃厚で改めて詳しく調べる。

長くなる予感がしてきましたので、今日はこの辺で一旦終わりにします。
次は、いくつか気になる出願人による公開特許公報の技術情報を調べてみたいと思います。